ASEAN-経済の動向と展望
エグゼクティブサマリー
2025年第2四半期、ASEAN主要6か国は全体として成長基調を維持。ベトナム、フィリピン、インドネシア、シンガポールが加速する一方、マレーシアは横ばい、タイは減速しました。背景には、米国の関税発動を前にした「駆け込み需要」が大きく作用。しかしこの要因は一時的であり、年後半には反動減が避けられないと見られます。国際機関は成長見通しを下方修正しており、各国は金融緩和や国内投資の拡大を通じて影響緩和を模索しています。
1. 2025年上半期の概況
- GDP成長率(対前年同期比)
- ベトナム:6.9% → 8.0%(過去2年で最高水準)
- フィリピン:5.4% → 5.5%
- インドネシア:4.9% → 5.12%
- マレーシア:4.4% → 4.4%(横ばい)
- シンガポール:4.1% → 4.3%
- タイ:3.2% → 2.8%(減速)
- 駆け込み需要の影響
- ベトナム:輸出+18.0%(米国向け出荷前倒し)
- シンガポール:輸出伸び率5.8%→10.3%
- インドネシア:輸出+10.67%
- タイ:関税発動前に米国向け出荷加速
- 内需の寄与
- フィリピン:家計消費+5.5%、公共支出+8.7%
- インドネシア:家計消費+4.97%、サービス業が大幅貢献
- マレーシア:良好な労働市場と政策効果
- シンガポール:製造業・建設・サービスが幅広く成長
2. 関税発動後のリスク
- 反動減の懸念
- 第2四半期の成長を押し上げた需要前倒しは、下半期に「ペイバック効果」をもたらす見通し。
- AMROは、米国・欧州の景気減速、米金利高止まりを追加リスクとして指摘。
- 米国との交渉結果
- インドネシア:ボーイング50機購入、農産品・エネルギー輸入拡大
- マレーシア:半導体供給の地位を交渉材料に譲歩獲得
- タイ:米国製品1万品目の関税撤廃、貿易黒字半減を約束
3. 長期的な展望
- 地域戦略
- 個別交渉の拡大はASEAN統合を弱体化させる懸念。域内協調の強化が不可欠。
- サプライチェーン再編
- 原産地規則強化により、単なる組立移転では不十分。ASEANはデジタル化・AR技術を活用し効率化と回復力強化を推進。

