デジタル人民元の衝撃

世界がコロナ問題で大騒ぎになる中、中国がデジタル人民元のテストを今月からひっそりと開始しました。

これは簡単にいうとここ数年マーケットを賑わせていたビットコインやイーサリアムの様な仮想通貨を国家の権威で発行するというもの。

微信の記事によればマネーサプライのM0レベルを今後2〜3年で30%〜50%をデジタル通貨におきかえるとのこと。 4月14日に深圳、西安、成都、蘇州の4つのパイロット都市で既に農業銀行でテストされたようです。

また今月中には蘇州のテスト地区でデジタルウォレットをインストールし5月迄に交通費の50%をデジタル通貨で支払うとのこと。

→微信参考記事

さて、中央銀行がデジタル通貨を発行するとどんな事が起こるかというと簡単なところから言えば

・数兆円と言われる現金発行コストが削減される

・現金がなくなるので偽札もなくなる

・現金に触れないので感染症のリスクも減る

・現金がなくなるのでATMもなくなる

とまぁ目に見えるところはこんな所かもしれませんが、深堀して考えていくと

・銀行の役割がなくなる

・携帯電話がATMあるいは銀行そのものとしての役割を果たす

こんな感じでしょうか。仮想通貨はウォレットと言われるオンライン、オフライン上に仮想の財布をインストールあるいは接続しますが、これと同じでオンラインあるいはオフラインの携帯上に自身のバーチャルな財布をインストールしデジタル化された現金を保管することになると思います。

そうなると例えば他人に現金が瞬時に送れるというという様な事が簡単にできます。

これは国内、国外関わらずとなるので、今までドル通貨を使ったアメリカの覇権自体が脅かされるということになるんだと思うのです。

今の所、海外への通貨送金はSWIFTという仕組みを使ってしか送金はできません。

先週も日本国内で必要なマスクを購入する為、取引銀行へ送金手続きを水曜日にとり、中国側の口座で入金確認できたのが月曜日でした。都合5日間かかっている訳ですが、これをデジタルウォレット間でやれば恐らく数秒~数分で完結するのではないかと思います。

また、米国が制裁を加えて送金が出来ない国々へ一瞬で送金が出来るという様な事も可能になるはずです。

そうなってくると今後貿易取引はデジタル人民元決裁で。。。という様な指定が出てくることになりそうです。

個人的にはWHOへの資金を米国が取りやめれば単に中国が払います!となりこういったデジタル通貨の動きとセットでますます中国のプレゼンスが巨大化する様な気がします。

 

 

 

記事カテゴリー 中国. Bookmark the permalink.