リスク&リターンという考え方

ここ最近ファーウェイの日本での初任給が40万円というニュースが話題になっています。

これに対して様々な意見が飛び交っています。

・「日本の技術が欲しいから」・「終身雇用でないから」等々。

5年間程度、中国人600人程の給与設計を日系企業の中国法人という立場で見てきた見地から言えば、「40万円と言われれば、まぁそういう考え方もするかな」という感じです。

2014年迄、中国社員の人たちと給与交渉をしてきましたが、直面するのはジョブホッピングという問題でした。(これは2008年迄見てきた東南アジア(インドネシア、タイ、ベトナム)でも同じ状況) 転職理由で一番多く口にされるのは「むこうの方が給与が良いから」ということ。 例えば当時入社3年目位までの技術者ならば一律で採用する日系ではせいぜい出せて3500~5000RMB程度。 しかし契約社会である中国企業では9000RMB~10000RMB等のオファーが出てきます。 皆を一律に扱う人事制度に慣れてしまうと「なんで??」となりますが、中国人経営者にしてみれば例えば1億円稼いでくれるのに3500元は安すぎるという事になります。  勿論従業員側からすれば1年~3年程度の縛りの契約でテスト期間、契約更新時期というハードルをクリアーして初めて高額の給与が中長期に渡って保証されるという事になります。

この辺は日本人の方が温情主義で1年程一緒に仕事をすると「彼はいいやつだから」という理由でなかなか社員をクビにするのに抵抗が出てくるのですが、中国人の人事担当からすれば出来ない人(利益が生み出せないという意味で)をいい人という理由で繋ぎとめる日本人の心理が分かり難い、と言われた事を思い出します。

話は飛びますが機械の説明で日本人の感覚は技術的にどう、とかデザインがどう、といったどちらかと言えば機械の評価を主眼におきますが、中国人の視点ではこの機械に幾ら使ったら幾ら戻って来るという思考が先行する様に当時は感じていましたが(いわゆるPay Back Period)、人事についても同じ様な視点でとらえている部分はあるかも知れません。 幾ら出して幾らくらいの仕事をしてくれるという観点で見れば一律で人材を扱う視点が非常に分かり難いという事になるのかも知れません。

長期的に見れば、やはり日本的経営は非常に優れた点を多く持っているのは確かですが、やはりものの捉え方は様々では無いかと思います。

 

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