海外工事・据付が絡む時

機械や設備の取引で、海外の現場工事・据付・試運転まで含む案件は、難易度が一段上がります。製品そのものの品質だけでなく、現地の電源・基礎・配管・人員・安全管理など、多数の要素が絡むためです。

この時に最も重要なのが、責任分界(誰がどこまでやるか) を先に決める事です。
ここが曖昧だと「現場で止まる」「追加費用が膨らむ」「クレームが終わらない」につながります。


押さえたいポイント

  • 据付案件は、製品契約ではなく プロジェクト として責任分界を設計する事

  • “範囲(Scope)” と “前提条件(Assumptions)” を書面化し、曖昧を残さない事

  • 受入・試運転・性能保証の条件(検収条件)を明確にし、出口を作る事


なぜ揉めるのか

据付が絡むと、原因が一つに絞れません。

  • 電源仕様が違う

  • 基礎が水平でない/強度が足りない

  • 配管条件が想定と違う

  • 現地の作業員の技能差

  • 物流遅延で工期がズレる

  • 安全ルールや許可が取れていない

これを「製品不良」と混ぜると解決しません。
だから、最初から責任分界と条件を設計する必要があります。


実務チェックリスト

  1. Scope of Supply / Scope of Work を分けて書く事

    • 供給範囲(機械、付属品、予備品、図書)

    • 工事範囲(据付、配線、配管、基礎、試運転)

  2. RACI(誰が責任者か) を簡単で良いので整理する事(承認者・実行者・協力者)

  3. 現地前提条件 を明記する事

    • 電源(電圧・周波数・容量)

    • 水・エア・蒸気等のユーティリティ

    • 設置スペース、搬入経路、床耐荷重

  4. 工期と工程表:納入、据付、試運転の順番と依存関係を明確にする事

  5. 追加工事の扱い:想定外が出た時の見積・承認・工期変更の手順を決める事

  6. 検収条件(Acceptance):試運転の手順、性能基準、測定方法、合否判定者を明確にする事

  7. 安全・保険・責任:現場安全管理、労災、第三者損害、保険加入の分担を決める事


据付案件で特に揉めやすい“3点”

  1. 責任の境界が図面に落ちていない
    → 文章だけでなく、接続点(電気・配管の接続位置)を図で示すと事故が減ります。

  2. 検収の出口が無い
    → いつまでに、何を満たせば完了か、が無いと延々と続きます。

  3. 追加費用のルールが無い
    → “善意”で対応し始めると、どこまでが無償かが崩れます。


まとめ

海外据付が絡む取引は、責任分界の設計が全てと言っても過言ではありません。
範囲と前提条件を固め、検収条件で出口を作る必要があります。

  • プロジェクトとして責任分界を設計する事

  • Scopeと前提条件を文書化する事

  • 検収条件を明確にして出口を作る事

記事カテゴリー 貿易, 貿易. Bookmark the permalink.