海外輸送で事故が起きた時、「保険に入っているから大丈夫」と思いがちです。
しかし実務では、保険が付いていても 免責(保険でカバーされない条件) や手順不備で、保険金が満額出ない事があります。
海上保険は“契約”なので、事故が起きてからでは条件を変えられません。
出荷前に最低限の確認をしておく必要があります。
押さえたいポイント
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保険は加入の有無より、補償範囲・免責・保険金請求手順が重要である事
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事故時は、まず 通知・証拠保全・サーベイ を優先し、権利を守る事
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免責になりやすい典型(梱包不備、遅延、自然減、固有の性質)を理解し、対策を先に打つ事
なぜ保険金が出ないのか
実務で多い理由は次の3つです。
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免責に該当した
例:梱包不備、自然な錆・腐食、温湿度による自然損耗、遅延のみの損害 等 -
事故の証拠が揃っていない
外装・開梱・固定状況の写真が無い、数量差分が特定出来ない、等 -
手順が遅れた
通知期限を過ぎた、サーベイヤーを入れず処分した、等
つまり、保険は「事故が起きたら自動で出る」ものではなく、請求実務が必要。
実務チェックリスト
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保険条件の確認:All Risks相当か、限定条件か(ICC(A)/(B)/(C)等の区分を確認)
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免責の確認:免責金額・免責事由(どんな時に出ないか)を押さえる
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付保金額の確認:CIF×一定割合など、算定根拠を確認する
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梱包要件の確認:保険上、梱包不備は典型免責になりやすい
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通知ルールの確認:事故時の通知先、期限、必要書類を事前に把握する
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サーベイ手順:サーベイヤー手配の要否、現地立会い、報告書の取得方法を確認する
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証拠保全:外装・開梱・内部固定・損傷箇所・数量差分を写真で残し、P/L箱No.と紐付ける
免責になりやすい典型
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梱包不備:固定不足、緩衝不足、雨濡れ対策不足
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固有の性質:錆びやすい、割れやすい、劣化しやすい(対策が前提になる)
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自然減・目減り:液体の蒸発、粉体の減量など
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遅延のみ:到着遅れによる逸失利益や機会損失は対象外になりやすい
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不十分な証拠:写真が無い、サーベイ無しで処分した
免責は「相手が悪い」ではなく、条件として最初から決まっています。
事故時の“初動”
事故が起きたら、まずこの順です。
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受領・開梱の状況を記録(写真・動画)
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通知(保険会社/フォワーダー/運送会社)
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サーベイ手配(必要なら)
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損害の範囲確定(数量、修理可否、代替必要)
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請求書類の整理(Invoice、P/L、B/L、サーベイ報告、写真 等)
まとめ
海上保険は「入っている」だけでは守られません。
免責と請求手順を理解し、証拠と初動で権利を守る必要があります。
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補償範囲・免責・手順が重要である事
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通知・証拠保全・サーベイを優先する事
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免責になりやすい典型に先回りする事

