“支払条件の一行”が、取引のリスクを決める。

海外取引では、価格や納期と同じくらい 支払条件 が重要です。
ところが実務では「TTでお願いします」「LCでいけますか」と、言葉だけ決めて、肝心の条件が詰まっていないまま進んでしまう事があります。

支払条件は、最終局面で揉めると回収が難しくなります。
だからこそ、最初に“揉める所”を潰しておく必要があります。


押さえたいポイント

  • 支払条件は方式(TT/LC/DA/DP)より、タイミング・条件・必要書類を具体化する事

  • 相手の信用に合わせて、前受・分割・検収条件を組み合わせる事

  • “送金出来ない/受け取れない”を防ぐため、手数料負担・送金経路・通貨まで決める事


なぜ揉めるのか

揉めるのは、だいたい次のようなパターンです。

  • TTなのに「いつ払うのか」が曖昧(前払い?船積後?到着後?)

  • LCなのに「条件が厳しすぎて」書類不備で支払いが止まる

  • DA/DPで「書類が出ない」「通関出来ない」「貨物が引き取れない」

  • 手数料差引で着金が不足し、「未払い」と扱われる

  • 送金規制・コンプラ確認で銀行が止める(KYC/AML)

方式名だけでは、実務は回りません。


実務チェックリスト

  1. 支払タイミングを日付条件で書く事(例:PI受領後7日以内、B/L発行後○日以内 等)

  2. 分割の場合は 割合とマイルストーン を明記する事(例:30%前受、60%船積前、10%検収後)

  3. 通貨・為替の扱いを決める事(USD固定か、JPY換算か、どの時点レートか)

  4. 銀行手数料(OUR/SHA/BEN) を決める事(着金不足が最も揉めやすいです)

  5. 支払いの前提となる 必要書類 を明記する事(Invoice/PL/B/L/CO/検査成績書 等)

  6. LCの場合は、信用状条件のドラフトを必ず事前確認する事(出せない条件が混ざりがちです)

  7. DA/DPの場合は、貨物引取りに必要な書類と到着スケジュールを確認する事(デマレージ回避)


方式別の“揉めどころ”を一言で

  • TT(電信送金):タイミングと手数料で揉める

  • LC(信用状):書類条件が厳しく、ミスると支払いが止まる

  • DP(Documents against Payment):支払いまで書類が出ず、通関・引取りが詰まる

  • DA(Documents against Acceptance):回収リスクが最も大きく、与信と回収設計が必須

※実務では、相手信用や商材特性で組み合わせます。


まとめ

支払条件は、方式名を決めるだけでは不十分です。
タイミング・条件・書類・手数料まで具体化し、回収リスクを設計する必要があります。

  • 方式より、タイミング・条件・書類を具体化する事

  • 相手信用に合わせて前受・分割・検収条件を組む事

  • 手数料・送金経路・通貨まで決める事

    注:
    • 銀行の海外送金手数料(OUR/SHA/BEN)は、送金にかかる手数料を「誰が負担するか」を決める3つの区分です。主に中継銀行や受取銀行の手数料負担先を指し、[OUR:依頼人負担]、[SHA:共用(中継・受取銀行は受取人)]、[BEN:受取人全額負担]の3種類があります。
      OUR(送金依頼人負担): 送金にかかるすべての手数料を依頼人が負担します。受取人は送金された金額を全額受け取れます。
      SHA(共用・シェア): 「送金銀行の手数料は依頼人」が負担し、「中継・受取銀行の手数料は受取人」が負担します。通常はこのSHAが設定されます。
      BEN(受取人全額負担): 送金手数料、中継手数料、受取手数料のすべてを受取人が負担します。送金された金額から手数料が差し引かれます。
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