特許であって特許でない?

2017年の世界知的所有権機関(WIPO)によれば2016年の全世界の特許出願件数は約312.8万件に達し、7年間連続で増加。全世界の特許出願件数の増加が約24万件(対前年比8.3%増)であるのに対し、中国の出願件数の増加は約23.6万件であり、全世界の増加分の約98%を占めることとなったそうです。

さて今週は香港に来ています。

ある事業者が中国での特許戦略をまことしやかに語ってくれました。
それによれば、特許出願自体が競合に真似をされる恐れのある商品は類似の内容で出願するが、実際にはそれでは製品化出来ないというもの。 出願自体が通りにくい場合はポケットマネーがまだ横行するそうです。

ここでなるほど、と思うのは「特許」に対する中国人と日本人の考え方の違いです。日本人ならば製品をプロテクトする為に財産権を確保したいと考えますが、彼らは「特許出願中または取得済み」ということを、自社の宣伝に使う為に登録すると考えているとおっしゃっていました。

確かに、「当社の製品は特許取得済み」と言えば聞こえは良い様に思いますが、それだけでは特許の本来の意味がありません。しかし、上述の中国の特許出願件数の数字をみれば、自社の宣伝のために登録する、という中国人の考え方も、あながちでたらめとは思えなくなってしまいます。 これは、特許申請にかかる費用も圧倒的に安い事も起因しているのでしょう。

問題は、こういった特許の意味が変質しているという事の認識もさることながら、その様な思考パターンや文化を持つ国が世界の覇権を握り(あるいは握ろうとし)、そして製品を販売する大きな市場となっているという事で、我々はそこで如何に戦っていくか、という事なのではないかと思います。

時間はかかるのでしょうが、結局は真面目に「品質」「効率」「デザイン性」などを高め、地道に「こうあるべき」という姿を追い求める、という企業本質を追求する事のほかに日本人として取る戦略は少ないのではないかと感じました。

記事カテゴリー 中国. Bookmark the permalink.