取引が壊れるのは、書類の差分

海外取引では、PI(Proforma Invoice)とPO(Purchase Order)が揃うと「これで決まった」と安心しがちです。
ただ実務では、トラブルの多くが PIとPOの“差分” から始まります。

数量・単価・納期・Incoterms・支払条件。
このどれかが微妙にズレたまま進むと、製造や出荷の段階で一気に噴き出します。


押さえたいポイント(3点)

  • PIとPOは“どちらが正”ではなく、差分を潰して合意を固定するためのセットである事

  • 差分が出たら、メールの「了解」で済ませず、改訂版(Rev.)で更新する事

  • PI/POの合意が、そのまま Invoice/PL/B/L に連鎖するため、最初に整合させる事


なぜ差分が危ないのか

PIは売主側の提示条件、POは買主側の発注条件です。
つまり、最初から“ズレが生まれる”構造になっています。

ここで差分を放置すると、例えばこうなります。

  • 売主はPIの納期で製造、買主はPOの納期で現場段取り → 立上げが間に合わない

  • Incotermsがズレて、通関・保険・追加費用の責任が曖昧になる

  • 支払条件がズレて、送金が遅れる(あるいは銀行が止める)

  • 品名や仕様の表現が違い、税関・検品・クレームで揉める

差分は小さく見えて、後工程ほど大きな損害になります。


実務チェックリスト

  1. PIとPOを突合せる チェック表(差分一覧) を作る事(項目を固定化すると早いです)

  2. 突合せ項目は最低限これを押さえる事:

    • 品名/型式、数量、単価、金額、通貨

    • Incoterms(ルール名+指定地)

    • 納期(出荷日基準か到着日基準か)

    • 支払条件(TT/LC、分割比率、OUR/SHA等)

  3. 差分が出たら「OK」ではなく、改訂PI(Rev.1/Rev.2) を発行して番号管理する事

  4. 変更履歴(何を、いつ、誰が)を残す事(後で“言った・言わない”を潰せます)

  5. 仕様が絡む場合は、PI/POだけでなく 仕様書・図面番号 と必ず紐付ける事

  6. 出荷書類(Invoice/PL)の記載項目(品名、住所、Consignee等)が、PI/POと一致するか確認する事

  7. 最終合意版を「これが最新版」と明確にし、関係者(工場/フォワーダー/通関)へ共有する事


“差分ゼロ”に出来ない時の考え方

現場では、全部が一度で揃わない事もあります。
その場合は、次のように切り分けると事故が減ります。

  • 確定事項:金額、Incoterms、支払条件、出荷期限(ここは先に固める)

  • 未確定事項:仕様の一部、梱包、検査(決定期限を置く)

未確定を放置するのではなく、管理対象として見える化する必要があります。


まとめ

PIとPOの差分は、小さく見えてトラブルの入口になります。
差分を潰し、改訂版で合意を固定する事が重要です。

  • PI/POは差分を潰して合意を固定するセットである事

  • 差分は改訂版(Rev.)で更新し番号管理する事

  • 合意内容が出荷書類へ連鎖するため最初に整合させる事

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