「ジョブ型」雇用に思うこと

最近になって日本大手企業の「ジョブ型」雇用がメディアに掲載されていました。

過去職務内容をあまり限定せず勤務する「メンバーシップ型」雇用が一般的であったものが人材の流動化によって「ジョブ型」へ移行する可能性があるという話です。

もともとアメリカでもJOB DESCRIPTIONという言葉が一般的でしたが、私がこれを実感したのは東南アジアや中国で社員を如何に動かしていくかという事を考えていた時でした。

日本以外の国では「適当にやっといて」、「任せます」という概念があまり通用しません。 基本的に契約書に記載されていない、給与に関係ないことはあまりしないという習慣の人に適当にやっておいてといっても誰も真っ先にその作業をやってくれません。

その為、適当にやっといて欲しいことも就社時あるいは契約時にある程度は説明をしておく必要があるという事になります。

中国で雇用契約の際に部門長が「日本語検定2級を一年以内に取得できない場合は来年契約更新をしない可能性が高い」という説明をしているのを聞いてギョッとしましたが、説明を受けている側もあまり抵抗なく聞いているので驚いた経験があります。(その社員は一年後には日本語の日常会話を普通に話していました)

何かして欲しい事があれば契約時に説明する、あるいは契約項目に盛り込むというのは当然である社会であれば「ジョブ型」というのは普通の事かもしれませんが、日本社会にこういった考え方が根付いていないので曖昧なまま雇用する、解雇が出来ないといった問題が存在するのも確かです。

今後日本では賃上げを促進するといいますが、賃上げというのは長期にわたる課題であり、優秀な人は幾らでも賃上げ出来るでしょうが、そうでない人を平等に賃上げすれば企業は弱体化します。

その為には人材の流動性を高めて、「はい、君は契約の項目をクリアできなかったので明日からクビね」といったアクションを取らなければ所得倍増は難しいのではないかと思います。 問題はそういうやり方が日本文化に馴染むかどうかですが、誰もそこ迄考えていないのかもしれません。

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